未経験からIT業界へ。職業訓練校に通ってわかったリアルなメリット・デメリット

未経験からIT業界を目指す手段として、職業訓練校を選ぶ人は少なくありません。
私自身もその一人でした。社会人として働きながら、「このままでいいのかな」と思い始め、手に職をつけたい、将来性のある仕事に就きたいという気持ちからIT職への興味が高まりました。

とはいえ、ITといっても分野はさまざま。何から始めていいかわからない中で、「Web系は未経験でも入りやすい」という情報を見て、Webデザイナーの職業訓練校に通うことを決意しました。

今回は、実際に通って感じた職業訓練校のリアルなメリット・デメリットをお伝えします。これからIT業界を目指す方の参考になれば嬉しいです。

職業訓練とは?未経験者でも学べる「公的な学びの場」

まず簡単に、職業訓練とは何かをおさらいしておきます。

職業訓練とは、厚生労働省が実施している再就職支援制度の一環で、無料でスキルを習得できる教育プログラムです。

IT分野に限らず、医療・福祉・デザイン・製造など幅広い分野に対応していますが、近年ではプログラミングやWebデザインのコースが人気です。

職業訓練校のメリット

同じ目標を持つ仲間ができる

職業訓練校に通ってまず驚いたのは、年齢も経歴もバラバラな人たちが、みんな“IT業界で働きたい”という共通の目標を持って集まっていることでした。
前職が接客業だった人、事務職だった人、育児が一段落して再就職を目指す人……本当にいろんな背景の人がいます。

この環境は、学習においてかなりプラスに働きました。というのも、「自分一人じゃない」という安心感があるし、何よりモチベーションの維持に大きく影響します。

授業の合間に「ポートフォリオどうしてる?」とか、「ここのCSS、どうやって書いた?」みたいな会話が自然に生まれて、お互い刺激し合える関係に。
社会人になってから、こういう“クラスメイト”みたいな存在ができるのは、貴重な体験でした。

わからないことをすぐ質問できる環境

独学で一番つまずくのは、「わからないことが出たときに、誰にも聞けない」ことだと思います。
その点、職業訓練校には講師が常駐していて、不明点があればその場ですぐに質問できるのは大きな安心材料です。

私もHTML/CSSを書いていて、「なぜmarginが効かないのか」といったような基本的なことで何度もつまずきました。ググってもピンとこない、というときに講師に質問すると、画面を一緒に見ながら解説してくれて、「あ、そういうことか!」と腑に落ちる瞬間がありました。

「初学者の詰まりポイント」を把握した上で教えてくれるので、ネットの情報を読むよりもずっと早く理解できます。

またIT業界では「15分考えてわからない場合は質問しよう」と言う考え方もあります。

就職・転職に向けた支援が充実

職業訓練校では、就職支援も手厚いです。履歴書の添削や面接対策、求人情報の提供など、キャリアサポートがセットになっています。

訓練中にポートフォリオを作成し、訓練校に届いた求人に応募して、実際にデザイナーやコーダーとして採用された人も多くいました
未経験可の求人に出会えるチャンスを広げてくれる場としても有効です。

職業訓練校のデメリット

授業だけでは“エンジニア”になるには足りない

これ、正直に言いますが、授業だけでWebエンジニアになれるほど甘くはないです。
職業訓練校は、あくまで「基礎の基礎」を教えてくれる場所。たとえばHTML/CSSや簡単なJavaScriptの使い方、Photoshopの基本的な操作などを学べますが、それ以上のことは自分でやらないといけません。

私は途中から「デザインよりコードの方が楽しい」と感じて、エンジニア志望に転換しましたが、その時点で「この授業の範囲だけでは全然足りない」と痛感しました。

授業外でProgateやドットインストール、Udemyの教材などを使ってひたすら自習したり、模写コーディングを繰り返したりして、やっとなんとかなった感じです。

つまり、本気でIT業界を目指すなら、訓練校に通って“学んだ気になる”のは危険。自己学習前提で考えることが必要です。

授業のペースが全員に合わせるため遅く感じることも

訓練校には「パソコンほぼ初めてです」という方も珍しくありません。そのため、授業の進度はかなりゆっくりです。

例えば「右クリックでコピーしましょう」といった説明から入ることもあり、ある程度パソコンに慣れている人には退屈に感じる時間もあるかもしれません。

また、そういった人たちに合わせるために、応用的な内容に踏み込む時間が少なくなるケースもあります。
授業で得られる情報量は限られている、という前提で臨むのが良いでしょう。

実務に近いスキルは身につきにくい

Web制作の現場では、チーム開発、Gitの運用、コンポーネント設計、JavaScriptのフレームワーク(Reactなど)など、訓練校では触れられないようなスキルが求められます。

職業訓練校は、あくまで「未経験者に優しい入り口」。実務で通用するレベルに達するには、さらに学習と経験を積む必要があるというのが正直なところです。

実際に通った私の感想:使い方次第で、強い味方になる

私は最終的に、訓練校での学びをベースにWebコーダーとしてアルバイト入社し、その後フロントエンドエンジニアとして働けるようになりました。

振り返ってみると、訓練校がなければ「自分にデザインは向いていない」「コードの方が面白い」という気づきもなかったと思います。
自分の適性を知る機会としてはとても良かったし、仲間がいたから続けられたというのもあります。

ただ、やっぱり**訓練校は“ゴール”ではなく“スタート”**です。
授業だけでは不十分、けれど、学ぶ環境としては整っている。そのバランスを理解した上で活用すれば、未経験からでもIT業界に飛び込むチャンスは十分にあると思います。

まとめ:訓練校に過度な期待は禁物。でも、使い方次第で大きな一歩に

職業訓練校は、未経験からIT業界を目指す人にとって、非常に有効な「足がかり」になります。
しかし、「通えば就職できる」というものではありません。

授業はあくまで基本。本当に必要なのは、自分で学び続ける力です。
その力をつけるための「きっかけ」と「仲間」を得られる場所として、職業訓練校を活用する価値は十分にあると私は思います。

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